院長コラム『Dr.原口のご存じですか?』
健康保険で治療できますか? ~形成外科と美容外科、保険証が使えるケース、使えないケース~ Part1
患者さんから「私の治療に健康保険は使えますか?」というお問い合わせをよくいただきます。形成外科治療と美容外科治療は重なっている部分が多く、自分が受けようとしている治療が保険で受けられるかどうかが気になるのは当然のことと思います。
公的な医療保険は憲法に基づいています。
日本国憲法第25条第1項と第2項に基づき、保険料や保険税負担、患者一部負担金支払いの義務を果たせば、公平に医療を受けられる権利を有する、とするのが公的医療保険です。
日本国憲法第25条
<第1項>
すべて国民は、健康的で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
<第2項>
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
健康保険が適応されるためにはクリアしなくてはならない条件があります。
<ポイント1>治療を必要とする病気や怪我であるかどうか。
<ポイント2>国が保険診療として認めた治療法であるかどうか。
この条件を満たしている場合のみ、健康保険での治療が可能になります。負担する費用は中央社会保険医療協議会が審議し、国が認めた保険診療報酬点数として定められたものです。
Q.健康保険は使えますか?
A.形成外科治療のほとんどは健康保険が適応されます。美容外科治療は健康保険適応がほぼありません。
◇形成外科・・・ほとんどの場合で健康保険が適応になります
形成外科は生まれつきの病気や、やけど・ケガなどの外傷、皮膚・軟部組織のできもの(良性腫瘍・悪性腫瘍)などの治療を行います。これらの状態は治療が必要な状態とみなされているため、健康保険での治療が認められています。ただし、国が認めていない治療法を行う場合や、厚生労働省の薬事審査で承認されていない機器を使用する場合、薬事法で認可されていない薬剤を使用する場合は健康保険が適応されません。
◆美容外科・・・ほとんどの場合で健康保険が適応になりません
しわやたるみなどの加齢に伴う外見の変化に対する治療や、ふたえ作成、豊胸など、患者さん個人の求める外見を変化させる治療が主体になる美容外科治療のほとんどは、緊急性がなく、病気やケガなどと異なり治療が必要とされる状態とみなされていません。そのため、健康保険の適応となるために必要な条件を満たしていないことになり、保険適応外(自費診療)になります。